どういった医療課題を抱えているのか

鹿児島ならではの医療課題

鹿児島ならではの医療課題

離島が多い鹿児島ならではの医療課題について、詳しく見ていきましょう。

離島の多さが関係している

鹿児島は市町村の数が日本一多い県です。その理由の1つに、離島の多さが挙げられます。鹿児島の総面積の28%が離島となっており、有人離島は28島です。1993年には日本で初めての世界自然遺産として屋久島が登録されるなど、それぞれの島は個性豊かで、それが魅力でもあります。しかし、離島の多さが様々な医療課題につながっていることも事実です。

離島が多いゆえの医療課題とは

離島の多さからくる医療課題としてまず挙げられるのが、医療資源の不足です。病院や診療所の数が限定され、医療従事者も少ないことから、対応できる疾患のバリエーションも限られてしまいます。また、緊急医療体制が不十分である点も大きな医療課題となっています。急病や重篤な怪我があった際に、適切な医療を迅速に受けられないケースも少なくありません。専門的な医療機器や高度な技術、救急搬送の手段などが整備されていないので、生命に関わる事態を招く恐れがあります。
医療従事者の離職率が高い点も見逃せません。離島での勤務環境は都市部と比べて厳しい部分が多く、長時間労働や孤独感を招きやすいといわれています。生活環境や教育環境の面でも不十分な部分が多く、医療従事者がなかなか定着しないことが医療課題となっています。加えて、医療機器の老朽化や不足も深刻な医療課題の1つです。新しい機器を導入したいと思っても、予算が不足しているケースも少なくありません。これによって適切な処置が行えず、患者には過大な負担をかけることになります。
さらに、離島は高齢化が深刻化しており、医療や介護サービスの需要が急激に高まっている状況です。そのため、現場の医療従事者の負担はますます増加しています。高齢者が多い地域では医療費が増加し、通院も困難です。当然ながら、離島では交通手段が限られています。悪天候時は船や飛行機を使うことができず、医療機関への移動が不可能なこともあるでしょう。こういった状況では定期的な受診も難しく、それに伴い症状が悪化するリスクも高まります。
医療費の負担が増加する傾向にある点も、大きな医療課題となっています。医療機関が少ないため、他の地域に移動して受診する必要があり、それが経済的な負担につながります。特別な設備や人材を確保するのにもコストがかかるため、適切な医療を迅速に提供することが難しい状況です。また、高齢化が進むことで医療費全体が増加するといった問題も考えられます。